第二部 侍韓流ドラマ

戦国デイズ – 武将たちの日記

豊臣秀吉くんの日記:第88回 そういう国だから


豊臣秀吉天正一九年六月朔日

独り属国の使いが未だ至らないのは、どういうことか。

明朝廷は、皇帝(万暦帝)二九歳の御前にて朝鮮を大いに疑った。

時に日本に在った我が国の許儀後が、密かに報じて言いました。倭人は中国を犯そうと謀り、そうして朝鮮人に入貢して質とし、且つ引導を為すと喧(やかま)しく言う、と。

南客・陳申は琉球国より帰って曰く、倭人は朝鮮をもって先鋒となし、まさに中国を寇(こう:侵略)せんと。

南辺の将吏もまた朝鮮が倭と通謀することを伝えた。琉球国もまた使いを遣わして特に奏して言う。

既に国中、衆人に伝播され、本朝(中央の朝廷)は誹(そしり)を受けるに至った。この罪、朝鮮に問うことを欲します。

異議なし。

異議なし。

異議あり。

閣老(宰相)・許国(きょ こく)が言う。

吾はかつて朝鮮に使いし、その至誠は大いに仕えることを知る。断じて倭に与(くみ)することはないだろう。

使いに行かれたのはいつでしたか。

先帝(隆慶帝)の時、およそ二五年前である。

閣臣(かくしん:大臣)以下、皆笑う。

その時、後ろより前に進み出る臣あり。

恐れながら、只今礼部(らいぶ:官庁の一つ)から急の報せがありました。

何だ。

朝鮮より聖節使(明皇帝の誕生日を祝す使節)・金応南の行が到着したとのこと。

場は響動(どよ)めき、許国は皇帝を振り返った。

 

閣老・許国

閣老・許国

日本は大明を攻めようと欲しています!

対馬島主・宗義智二四歳は海を越えて、釜山浦(プサンポ)に至る。そうして辺将に訴えた。

まだいたのか。帰れと言ったはずだ。

辺将は呆れた。

このこと、急ぎ大明に報せてください。

何のために。

貴国の地方に一様に禍(わざわい)をもたらすのですよ!

義智は強く迫った。

わかった、わかった。急ぎ漢城(ハンソン)に馬を走らせ、王様(宣祖)に告げよう。

辺将はなだめるように言った。

本当ですか!?

無駄だと思うけど。

どうして。

そういう国だから。

辺将と義智の間に冷たく海風が流れた。

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