李舜臣くんの日記:第20回 知らないままで


李舜臣戦国30年6月22日

来るべき日本軍侵攻に備え全羅左水営の兵士を鍛え直し、各浦の防備を固め、亀甲船を造船。次に行うべきは――

私は慶尚右水営に赴き、軍官の案内で通された部屋に入った。右水使(ウスサ)元均(ウォン・ギュン)は、妓生を両脇に二人ずつ侍らせ既に酔いつぶれていた。

「え。」

私はキョロキョロ辺りを見渡していた。

どうした、左水使(サスサ)李舜臣。

と元均は酒をあおった。

「妓楼に連れてこられたのかと思って。」

嫌味か!

元均は私に向かって酒杯を投げつけたのでよけると、酒杯は後ろの壁に当たって砕けた。

貴様が来るというので酒席を設けたというに。おい、相手してやれ。

妓生が私の腕を取ろうとしたので「お気持ちだけで」と制止した。

「先日、書簡を送りましたが、読んでいただけましたでしょうか。」

右水営と左水営の合同軍事演習が云々ってやつか?

「さようです。一日も早く実施したいのですが。」

倭の侵攻は確かでないし、侵攻したとしても倭ごとき各営がそれぞれ奮戦すれば一掃できよう。

柳成龍

柳成龍:というか私が舜臣に牛肉奢るよ。

「然しながら両水営が予め連携し備えていれば、被害はより少なく済みましょう。」

そんなことより、漢城(ソウル)の朝廷に根回しをしておいた方がいいぞ。階級七段跳びで左水使に就任したお前をよく思っていない連中は多いのだからな。

「……」

私は元均の執務室を後にし、右水営の門に立った。

根回しか。そう言えば副首相・(ユウ)様の好きな食べ物って何だっけ?

知らないままでもいいですか、柳様――

見上げた空からぽつん、ぽつんと雨が降ってきた。

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