藤原惺窩くんの日記:第11回 鬼界ヶ島の戦士


藤原惺窩戦国29年2月17日

明へ遊学を企図するも、鬼界ヶ島(きかいがしま)に流れ着いて数ヶ月。

島民が数人、穀物もなく、舟も通らなかったけど、その分、私は久しぶりに自由を手に入れた。ここでは、

「日本のバカヤロー!」

と、どれだけ叫んでも処刑される心配はなかった。

だけど赤松広通様が、但馬(兵庫県北部)竹田城で私を待っている。

早く本国に帰って、漢文が読めない好学の広通様のために、乎古止(おこと)点を打ってあげねば。

 

鬼界ヶ島に流れ着いて数ヶ月。島民が数人、穀物もなく、舟も通らなかったけど、その分、私は久しぶりに呼吸ができた。ここでは、

「やっぱり明に行きたーい!」

と、どれだけ叫んでも日本人でいることができた。

だけど木下勝俊様が、若狭小浜城で私を待っている。

姜沆

姜沆

早く本土に帰って、勝俊が詠む歌を応援してあげねば、名将になれないことを恥じたままだ。

鬼界ヶ島に流れ着いて数ヶ月。島民が数人、穀物もなく、舟も通らなかったけど、その分、私は船を同じくした人々と励まし合い、人との温かさを久しぶりに感じることができた。ここでは、

「スンドゥブ食べてみたーい!」

と、どれだけ叫んでも鼻を斬り取られる心配もなかった。

だけど赤松広通様が、木下勝俊様が、私を待っている。

弛緩は許されない。この時はまだ知るよしもないけれど、侍でなくとも戦い続けなければ、博士・姜沆(カンハン)との運命的な出逢いもなくなってしまうのだから――

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