小西行長くんの日記:第58回 嘘


小西行長戦国29年1月19日

去年4月に朝鮮侵攻が始まると、先鋒隊の小西軍は釜山から北上して、僅か半月で首都ソウルを落とし、6月には平壌も落としてここに留まった。

7月、朝鮮の要請で明の援軍が平壌に攻め込んできたが、我が軍はこれを撃退。

9月、明の外交家・沈惟敬(しん-いけい)が単騎、平壌城に乗り込んできた。そして

朝鮮は明の門庭だから日本軍は即刻退去せよ。

と我々に勧告。面白いヤツだな、と思った。

太閤の命で動いている以上、退却できないので私は明側と停戦協定のみ結んだ。これで明の再援はないだろう。と、胸をなで下ろしたのもつかの間。

年明け正月、提督・李如松(りじょしょう)が四万の明兵を率いて平壌城を包囲した。

だまされた!

と私の娘婿の宗義智が絶叫した。

惟敬を信用した私が馬鹿だった。後悔してもあとの祭り。明の大砲が凄まじい衝撃音と共に次々と外廓に撃ち込まれた。

どうしましょどうしましょ!

牡丹台が突破され、敵軍、七星門に迫ってます。

と有馬晴信が報告。

「城内全軍、内郭へ避難し、直ちに鉄砲で応戦せよ。」

と私は命じた。

明軍本陣から「朝鮮の軍民、自らこの旗下に投ずる者は死を免れるだろう」と書かれた白旗が立った。それは我らに囚われた朝鮮軍民らに対するエール。

沈惟敬

沈惟敬

かっこいい~!

我ら先鋒隊、キリシタンでありながら、神の存在を忘れていたようです。

「とか言うなッ!」

だけど認めねばならない。釜山からここまでの道のり、勝てば官軍と自分をどれだけ偽ってきたか。

勝っても負けてもクズはクズ。

私に嘘をついたのは惟敬ではない。

私だ。

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