加藤清正くんの日記:第48回 永遠の被害者
11月24日
悪いのはいつも他人。わしはいつも被害者。
例えば、明・李如松に城を落とされた小西行長。
同胞の勘違いが、わしの進みを止める。
悪いのはいつも他人。だから己を省みたことがない。
例えば、義兵将・郭再祐に迎撃された小早川隆景。
同胞の雑魚が、わしの勢いをくじく。
悪いのはいつも他人。学より筋肉。事に臨みて懼(おそ)れを知らず。
例えば、水軍将・李舜臣に敗れた藤堂高虎。
同胞の過ちが、わしを追い詰める。
好き勝手する時は、「誰にも迷惑かけてないんだからいいでしょ?」
志などなくても、酒と遊興があれば満たされる。
日々に安らぎ、人から非難されなければそれでいい。
そうだ、悪いのはいつも他人。人を傷つけたことなどない。
ソウルに集結した日本軍がソウル近郊の幸州(ヘンジュ)で権慄(クォン・ユル)率いる朝鮮軍に大敗した。これでいまだ咸鏡道に踏ん張る清正軍も、撤退を余儀なくされるだろう。
わしはカンペキで、何も間違っていなかった。
悪いのはいつも他人。
永遠の被害者。
臨海君と順和君は笑いが止まらないだろうか?
問いかけようにも、いまだ朝鮮語がわからなかった。
カテゴリ:加藤清正くんの日記 | 2018年11月24日 公開
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