加藤清正くんの日記:第49回 出逢い


加藤清正戦国31年2月15日

昨年(文禄元)四月に日本軍は、朝鮮に侵攻。朝鮮王朝に恨みを持つ官吏・鞠景仁(ククギョンイン)らは、朝鮮東北・咸鏡道に逃げ込んだ臨海君(イムヘグン)二二歳と順和君(スンファグン)一四歳を捉えた。

咸鏡道に侵攻していたわしは同年七月、鞠景仁から「朝鮮王子二人を捕らえ会寧(フェリョン)城にて預かっている」と通報を受けた。偽りかもしれぬ。

しかしわしは単騎、入城した。

するとなんたることか!

城の一室に両王子及び夫人女侍、女官、従臣の金貴栄・黄延彧・黄嚇から奴婢に至るまで縛り上げ、器物を積み上げるように高く積み重ねっていた。

「これはすなわち、汝が国の王子及び朝廷宰臣であろう。何故このような困辱(こんじょく)を!」

わしは縄と解いた。そして軍中にて、両王子と食事を共にした。

腹が減っていたのであろうか。もてなした魚や山菜で彩った日本料理を、わし手製のごった煮汁含め、夢中で食べて飲んだ。

いくさのし過ぎであろうか。そんな両王子の姿を見て、何故かとてもうれしかった。

 

加藤清正と朝鮮王子

加藤清正と朝鮮両王子

あれから半年――

わしが治めるここ咸鏡道はいまだ静謐であるが、日本軍全体としてみれば、年明け明の援軍や朝鮮軍の巻き返しやらで窮地に陥っていた。その影響は早晩ここにも及ぶだろう。

今宵、風邪を引いた臨海君のために、しょうが汁を一人で作っている。全くわしとしたことが。朝鮮王子に風邪を引かせるとは、日本国の恥ある。予防のためチビ(順和君)の方にも飲ませよう。

味見してみた。

かなりにがいかも。

飲んでくれるであろうか。

初めて出逢ったあの時のように――

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