上杉謙信くんの日記:第29回 蚊帳の外
「静岡県のここ善得寺に、信玄殿と義元殿と私、氏康が集まって三国同盟会議を開くのは今日で二回目ですね。」「目出度いわね。ねえ、聞いてくれる?尾張の織田信長ったら、自分のお父上の葬儀中に、棺桶に向かって、線香の灰をばらまいたんですって!」
「それは義元殿、本当か。なんと不謹慎な奴じゃ!」「信玄殿、それあなたに言われたくないって。いくら織田信成だって。」「信長じゃよ。」
「所で、私達が三国同盟を結んだ日に、新潟県の上杉謙信もこの寺に来ていたんですよ。」「は?何で。」「何でだったかなあー?」「いやだわ、それホラー映画みたい!」「今日も来てたりして。」「まさか。」
「仲間外れ、いけないと思います!」
「?なんか、今、声が聞こえたけど。」「上杉謙信じゃったり?」「まさかありえないわ!オホホホ!」「ダハハハハ!」「ムフフフフ!」
そのまさかだよ!
今日の私はずっと、彼らの様子を、この寺の植木の陰から眺めていた。相変わらず楽しそうだ。しかし彼らは一向に、私を仲間に入れようとする気配がない。ならば私は、この世から仲間外れを撲滅しよう。そんな正義の道を、今日も邁進する私であった。
カテゴリ:上杉謙信くんの日記 | 2009-11-18 公開
« 後藤又兵衛くんの日記:第37回 見てみたい顔 大谷吉継くんの日記:第14回 かぐや姫 »
ランダムデイズ
- 藤堂高虎くんの日記:第16回 珍客
- 加藤清正くんの日記:第38回 旧正月、蔚山、沙也可
- 石田三成くんの日記:第43回 絶交
- 藤原惺窩くんの日記:第12回 私が歓喜の声をあげた瞬間、あなたは捕らわれた
- 李舜臣くんの日記:第4回 謹賀新年2016