大谷吉継くんの日記:第14回 かぐや姫
11月20日
体調が少しよくなった私は、屋敷を増築することにした。ここ最近、家臣が増えたからだ。増築する場所は、自分ちの敷地内の竹林。今日、増築の手伝いに来てくれた小西行長を、私はその竹林に案内した。
「今日は戸田と平塚はいないの。」
と小西は私に尋ねた。
「みんな小西みたく、いつも暇してるわけじゃないよ。」
と私は答えた。
「暇で悪かったな。しかし、ここの竹、立派だな。伐採するには惜しいかも。」
「伐採した竹は、竹とんぼや獅子脅しに再利用するから大丈夫。」
「微妙な再利用だな。じゃあ、切るよ。」
と小西はオノを振った。
「ちょっと待って!」
「何?」
「切る前にこうして、竹をゆすってみたり、竹に耳をあててみたりして。」
「何で。」
「竹の中にかぐや姫さんが、いるかもしれない。」
「おまえは、現実と虚構の区別もつかんのかーーッ!」
と小西はオノを振り上げ、バッサバッサと一気に二十本もの竹を伐採した。
「ギャー!小西が、かぐや姫さんの生存確認もせずに竹を切ったーッ!」
なんて凶暴な男なんだ、小西行長という男は。
カテゴリ:大谷吉継くんの日記 | 2009-11-20 公開
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