加藤清正くんの日記:第19回 石田三成は二枚重ね


加藤清正11月8日

昨日の夕方、小西ご近所行長が、「石田三成が遊びに来ていて、一晩うちに泊まるから布団を貸してほしい。」とうちに頼みに来た。小西のうちの余っている布団は、穴が空いているものばかりらしい。

わしは布団を小西に貸した。「え?布団、ふたつもいらないよ。」「あいつは11月ともなると、布団を二枚重ねにして、やたら温かくして寝る。」

幼い頃、三成と同じ釜の飯食ってただけあって、三成のことをよく知ってんだな。清正、三成に逢いにうちに来いよ。」「わしのような武断派をナメきってる、文治派の三成などに逢いたくもない。」とわしがキッパリ断ると、「あっそ。」と小西は布団二枚、抱えて帰って行った。

そして今日。布団を返しに小西がうちにまたやって来た。「三成が布団カバー、二枚とも起床するなり外しちゃったんだけど、別にいい?」「全く構わない。わしはキレイ好きじゃから、布団カバーは昔から毎日洗うのだ。」「マジで?三成はそんな清正を知っていて、布団カバー外したのか。おまえら仲が悪いわりには、互いを知りつくしていて、なんかやけるよ。そしてカンドー。」と小西は袖で目をこすった。

「泣くな。アホか。」「バーカ、冗談だよ。三成が、清正の布団のおかげで、昨夜はよく眠れたって言って、今朝、大坂に帰って行ったよ。」と小西は笑って、自分の屋敷へ戻って行った。

昔のことなど、忙しい日々の中、忘れてしまったと思っていたのに、大嫌いな佐吉のことをまだ、よく覚えている自分に、わしは苦笑した。

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