大谷吉継くんの日記:第32回 忠興元気で留守がいい。
11月16日
今年の四月、太閤殿下の命で日本軍は朝鮮に侵攻。
朝鮮奉行の石田三成と私は、日本軍監察のため今年七月に朝鮮に渡った。ちょうどその頃、朝鮮を救うべく明の祖承訓の軍が小西行長籠る平壌城を攻撃。
小西はこれを撃退したが、明の来援は首都ソウルの日本軍と朝鮮奉行に大きな衝撃を与えた。
今後予想される明軍の再来にどう対処すべきか。これを話し合うため、朝鮮奉行は日本全軍をソウルに召集。
ほとんどの大名が集まったが、いまだ朝鮮東北部・咸鏡道に踏ん張る加藤清正と鍋島直茂の姿はなかった。
「朝鮮奉行もナメられたもんだな。」
と小西行長が苦笑した。
「虎兄(とらにい)と鍋島殿もちゃんと呼んだの?仲間外れにしたんじゃないの?」
と黒田長政に問われたので、
「呼びましたあー。来なければブッコロスって。」
と私は答えた。すると大名皆のけ反った。
「大谷!」
と三成が怒った。
「だいたい君ら朝鮮奉行は何しに来たの?俺たちを採点するため?感じわるいよ。」
「黒田長政マイナス100点。」
「ひえええええッ!!」
皆から悲鳴が上がった。
「大谷!」
「あの~、すみません。朝鮮奉行さんに質問していいですか。」
と細川忠興殿が後ろの席から手を挙げた。
「何?」
「先日、本国の妻ガラシャから『亭主元気で留守がいい。』と手紙が来たのですが、私は何と返事をしたらいいでしょうか?」
「細川忠興100点。」
「うおおおおおッ!!」
場がどっと沸いた。
「大谷!」
「すげー、コレなんの会議?」
「虎兄と鍋島殿、欠席で正解だよ…」
そんなことはないでしょ?
カテゴリ:大谷吉継くんの日記 | 2016-11-16 公開
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