加藤清正くんの日記:第29回 宇喜多秀家に誘われて


加藤清正戦国23年7月16日

太閤殿下に所用があって大坂城に出向くと偶然、備前国の宇喜多秀家殿とはち合わせた。そして秀家殿に今宵、夕食を共にしないかと誘われた。

大坂城下のとある寺の一室。「小西行長は私の元家臣なのですが、肥後国で元気でやっておりますか。」と秀家殿はわしにお酌してくれた。「ええ。」とわしは答え、今宵、親しくもない秀家殿に誘われた理由に今頃気付いた。

そして秀家殿は、味噌汁の中に入っていたにんじんを箸でつまんで言った。

その昔、私は小西を兄の様に慕い、小西は私を弟の様にかわいがり、よく面倒を見てくれました。にんじんが苦手な私の代わりに、父(直家)にバレないように、いつもにんじんを食べてくれたのも小西です。お蔭で私はいまだににんじんが食べれません。」と秀家殿は、その色白の気品のある顔に笑みを浮かべた。

「今食べたら、おいしいかもしれませぬぞ。」「そうでしょうか。それでは清正殿のお言葉を信じて。」と秀家殿はにんじんを口に入れると、「ゴホッ!」とむせ返った。「なんか小西のご近所にだまれたッ!ゴホ、ゴホッ!

だまされたって、にんじんも食べれない戦国武将ってどうよ。自分の主君をこんなヘタれにしてアホか、小西。わしは元家臣をいまだに健気に思う秀家殿の背中をさすりながら、当たり前だけど小西にもいろいろと歴史があるのだなと思った。

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