松永久秀くんの日記:第66回 サヨナラ夏の恋
8月25日
俺様は今日、最近出来た彼女と戦国サマソニに行くのだが、何を着て行こうか。うれしいけど、こういうのすごい久しぶりで、かなり緊張する…と自分の部屋で呼吸を整えていた時、
「おとっつあん…」
と息子の久通(ひさみち)が、襖の陰から顔をのぞかせた。
「どうした、久通、腹でも壊したのか。」「どうしよう、夏休みの宿題、全然やってなくて、全然終わらないよお!」と泣き出した。
「おまえは毎年同じこと言ってんじゃねえよ!」「ご、ごめんなさい、ううっ!」「何が終わってないんだ!」「冬瓜(とうがん)の観察日記…」
「それなら俺様に任せておけ!久通が冬瓜の水やりを忘れている日も、俺様が水をやっていたから、ここ1、2カ月の記憶を呼び覚まして俺様が書いてやる!あとは!」
「読書感想文なんだけど、『注文の少ない料理店』と『ホームレス浪人生』、どれで書いたらいいかな?」「賞が取りたいのなら、『蹴らないで!背中』にしとけ!」
「うん、わかった。僕、賞を取りたいから『蹴らないで!背中』にしとく!」
俺様は、最近出来た彼女に「戦国サマソニには行けなくなった」と急ぎ矢文を出し、久通の夏休みの宿題を全力で手伝った。
こうして俺様の夏の恋は、今年も砕け散った。バカ息子持つとホント、大変だよな。
カテゴリ:松永久秀くんの日記 | 2012-08-25 公開
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