加藤清正くんの日記:第51回 撃ちてし止まむ


加藤清正文禄二年二月二一日

「紙筆など、女子供、次男以下、年寄、癩の遊び道具。

家督は一に筋肉、二に筋肉、三四がなくて五に筋肉!!」

早朝から、わしが腕立てしている所に、相良(さがら)二〇代当主・長毎(ながつね)一九歳がやって来た。

家督になんか恨みでもあんのかよ…

「早いな。何か言ったか?」

わしは構わず腕立てし続けた。

日本全軍が漢城(ソウル)に集結しています。我等第二軍はいつ漢城に帰陣するのですか。

突然わしは立ち上がって、相良の口を自らの手で塞いだ。

な…※□△○…!!

「王子たち(臨海君と順和君)に聴かれたらどうする!?」

わしは小さな小さな声で相良の耳元で叫んだ。

何が問題なんです?

相良はわしの手を力強く振りほどいた。

「漢城の腰抜け日本軍と違って、我等はいまだ静謐にここ咸鏡道(朝鮮東北)を統治している。」

してません。いい加減、現実見ろよ。

「捕らえた王子たちはどうする。漢城に連れて行くのか。」

手放すしかない。

「それだけは絶対に無理。」

何故。

その時、

キヨマサドノ、シャガラドノ、オハヨウゴジャイマス。

と朝鮮王子の順和君(スンファグン)一四歳が、目をこすりながらやって来た。

「神功の時も元寇の時も我等が祖先は、国難来ると雄叫びが起こった。耳を澄ませ、いま同じ血潮が高鳴り叫ぶ。国難来る。撃ちてし止まむ!」

誰に向かって?

加藤清正 戦国プロパガンダ風

『月間こども侍』文禄元五月号 名護屋日本本営

ウチュテシヤマム?

ミアネヨ(ごめん)。何でもない。朝ごはんにしよう。

 

国難来る。ウチュテシヤマム

じゃ戦えないだろ。

手放すしかありません。

戦意喪失して己でなくなる。

そんな時こそ、古事記以来の合言葉。

誰に向かって?

いっそ君に向かって、撃ちてし止まむ――

前後の日記

« »

ランダムデイズ

関連トピック