毛利秀元くんの日記:第15回 帰陣


毛利秀元戦国30年2月18日

黒田軍と我が毛利軍は、首都ソウル(漢城)侵入を試みるも、忠清道・稷山(チクサン)で明軍の迎撃にあった。激戦のうえ、敵・味方ともに犠牲者を多く出し、決着がつかなかった。黒田・毛利軍は稷山から南下して、釜山日本本営に帰陣。

秀元くん!

と慶長の役・総大将の小早川秀秋殿が真っ先に僕を出迎えてくれた。僕が預けた、ぬいぐるみ”うさ太“と一緒に――

「秀秋ちゃん!」

と僕は秀秋殿を抱きしめた。

秀元くんとここ釜山でお別れしてから、この一ヵ月、秀元くんが死んでしまったらどうしようって、気が気でなかった。

「ほら、この通り元気で帰ってきたよ!」

と僕はくるりと回ってみせた。

頭にも腕にも足にも包帯巻いて、ひどく負傷しているじゃないか!

「宍戸が大袈裟にぐるぐる巻きにしただけさ。心配してくれてありがとう。」

小早川秀秋

小早川秀秋総大将

秀元くんはなんでそんなに優しいの…。

秀秋殿はわっと泣き出した。僕は手ぬぐいで秀秋殿の目から流れた涙を拭いた。

「朝鮮の人々を傷つけているだけの人間を優しいだなんて、言ってはいけないよ。」

誰に何と言われようが、僕にとって秀元くんはかけがえのない。その秀元くんの軍を攻撃した、明司令官・楊鎬(ようこう)が許せない。なんて目障りなヤツなんだ!

「僕も驚いたよ。他国の為に命懸けで戦う人がいるなんて、世の中、捨てたもんじゃないね。」

え?

「ごめん、なんでもない。」

秀秋殿との再会を果たしたあと、僕は釜山日本本営に与えられた一室に一人倒れこんだ。また、楊鎬と相対してみたい。あなたになら撃たれてもいい。いいや、もう既に心臓を射貫かれている。

それって既に負けているってこと?僕は久しぶりに深い眠りについた。

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