藤原惺窩くんの日記:第15回 覚悟

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藤原惺窩戦国29年11月23日

藤原先生ではありませんか?!

誰かの声が微かに聴こえた。天空の城・播磨竹田城に至る山道の途中、私はいつの間にかここに倒れていたようだ。

しっかりなさいませ。」と別の方は私に水を飲ませた。それから間もなく、

惺窩!

と竹田城主・広通様の声で目が覚めた。

「城からここまで降りて来てくださったのですか。」

先程の方々は広通様の家来で、広通様を呼んで来られたようだった。

明で何があった!?

と広通様は私の変わり果てた姿に驚いた。

「明ではなく国内でこうなりました。」

と私は息も絶え絶えお答えした。

国内!?明は?

「突風に見舞われ、入明は失敗に終わりました。申し訳ありません。」

何を申すか。惺窩が生きて帰って来てくれただけでもう…

と広通様は目を袖でぬぐい、ほっとしたのか

こんなアザと傷だらけの学者、見たことがない。

と笑った。

「笑うところですか?」

私もつられて笑ってしまった。

広通様は私をおぶって竹田城に至る山道を登った。私は広通様の背中で事の経緯をお話した。広通様は一通り聴いたあと、

それにしても惺窩は意外に重いな。

と一旦止まって体勢を整えた。

秋_光

「広通様におぶられる光栄。私は私をこのようにした正義の人々に礼を言わねばなりませぬ。」

惺窩は相変わらずだな。

広通様と私は再び笑った。

諦めかけていた志がまた沸々と湧き上がる。

全部、広通様のせい。

志の為なら死んでもいい――

私が欲していたのは、望んでいたような結果よりそんな覚悟の方だったのではなかろうか。

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