藤原惺窩くんの日記:第14回 私の先生


藤原惺窩戦国29年10月1日

惺窩はずっと一人でいてほしい。

いつだったか、但馬(兵庫県北部)竹田城主・赤松広通様はそう私に言った。

「何ですか、それ。」

私は眉をひそめた。

配偶者とか、味方とか、支持者とか、そーいうの、いらないでしょ?

「どうして?」

真の学者だから。

「は?」

いや、私の先生だから。

「・・・・・・。」

 

国賊・藤原惺窩を探せ!

漂流した鬼界ヶ島から日本本土に帰還して、京の相国寺で油を売ること一か月余り。敵国・明へ遊学を企図した私は国の裏切り者として有名になっていた。

正義を振りかざした人々に追われた私は、京の町中を逃げ回った。

 

惺窩はずっと一人でいてほしい。

配偶者とか、味方とか、支持者とか、そーいうの、いらないでしょ?

真の学者でいるには、これほどの孤独と恐怖の中を生きなければならないのだろうか?

 

いたぞ!

正義の人たちに腕をつかまれ、路地に連れ込まれ、殴られ蹴られて、身ぐるみはがされた。

こいつ、いいモン持ってんじゃん。」「赤松の紋じゃね?

それは明への旅費として広通様にいただいた刀――

「返せ!」

赤松広通

赤松広通

返してくださいだろ?

「返してください!」

マジで言ってやがる!

そう正義の人たちは笑い、私は再び殴られ蹴られた。

広通様の先生でいるには、私は弱過ぎた。情けなくて、惨めすぎてこのまま死んでしまってもいい。

意識がなくなりそうな中で、広通様の言葉が聴こえた。

惺窩とだったら、この天空の城から日本を変えられるかもしれない。

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