石田三成くんの日記:第39回 薄ら竹中半兵衛
3月15日
石田三成より竹中半兵衛の方が、温かくて人の気持ちがわかる。
石田三成より豊臣秀長の方が、頼りがいがあって安心できる。
秀吉様の軍師であった竹中半兵衛様と、秀吉様の弟君であった豊臣秀長様。最近の私は、既に亡くなられたこのお二人と比べられては、諸国の大名たちに嘆かれていた。
意味がわからないし、私なりに豊臣政権の為に精一杯やっているのに、どうしていつもこうなるのだろう。と溜息をついたら、
「あははははッ!!」
と私の城、佐和山城に遊びに来ていた小西行長が笑い転げた。「そこ、笑う所かな?」私は眉をひそめた。

大谷吉継
「余りにも三成らしくて。おまえ、器用なようで本当不器用な。ま、頑張って、薄ら竹中半兵衛。」と小西が言うと、小西の隣りで私の三献茶を静かに飲んでいた大谷吉継が
「三成が薄ら竹中半兵衛なら、私は薄ら豊臣秀長になる!」
といきなり口を開いた。
「おまえなんか薄ら豊臣秀長でもねえ。」「どういう意味だよ。」「そういう意味だよ。」
小西と大谷と私は笑った。私が薄ら竹中半兵衛なら、大谷が薄ら豊臣秀長か…。それも面白いかもしれなかった。
カテゴリ:石田三成くんの日記 | 2012-03-15 公開
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