淀殿の日記:第33回 誰にも必要とされていない日々


淀殿戦国24年3月29日

サルを独占したいとか夢にも思わないけれど、サルは最近迎え入れた若い側室に熱を上げていて、わらわのことはすっかり忘れているようだった。

そんな時は、サルの正室・北政所の部屋をなんとなく訪ねてみるのだけれど、彼女の部屋から聴こえてくる賑やかな笑い声がわらわの足をとめた。わらわと違い人望の高い北政所。

今日もどこぞの大名や姫たちが北政所を訪ね、彼女との談話を楽しんでいるようだった。わらわは自分の部屋に戻り、言いようのない孤独にただ打ちひしがれていた。その時、「淀の方様。」と大野治長がわらわを訪ねに来た。

何じゃ。」わらわは驚いた。「去年私は結婚し、今月新婚旅行で鎌倉に行って来ましたので、淀の方様にお土産を買って参りました。大野治長

・・・・・・・・・・・・・。

好きな男から新婚旅行の土産をもらうなんて、わらわはどんだけ間抜けなのだろう。大野治長はどんだけ鈍感なのだろう。

けれど久しぶりにやっと大野治長に逢えて、言葉まで交わせたことがうれしかった。誰にも必要とされていない日々があったからこそ、この瞬間わらわは多分、他の誰より幸せだった。

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