加藤清正くんの日記:第40回 年末年始は蔚山倭城の戦い
12月27日
年末年始は蔚山倭城の戦い。
刺激が欲しいのなら、明・朝鮮連合軍六万に包囲されるもよかろう。
これに対する城内の日本軍わし以下二千。
飢えと寒さと恐怖に耐えきれないくて、敵軍に投降する裏切者は叩き斬ってやる。
日本人たるもの心を一つにして、進めサムライ火の玉だ!
だけど水道まで断つことないだろう。明・朝鮮人には道徳というものがないのだろうか?
小西じゃあるまいしとんでもない連中だ。
包囲されて四日目の本日、敵軍の司令官である明の経略・楊鎬(ようこう)が、城を明け渡し退散すれば軍兵の命は助かると勧告してきた。何度も頭を横に振るも、城内の日本軍の疲労は限界に達した。
もはやこれまでと、城門に向かおうとした時、
「清正殿、どちらへ?」
と浅野幸長(よしなが)二二歳がわしを引き止めた。
「なりませぬ、奴らの勧告は罠です。」
「うるさい、クソガキ!喉の渇きはもとより、三六にもなるとなあ、寒さも滅茶苦茶こたえんだよっ!!」
とわしはブチ切れた。
「嗚呼…」
「嗚呼…って引くなッ!」
「しかし日本男子たるもの日本国の御為なら、命を落としてでも最後まで戦い抜くべきだと思いませんか?」
「思わねえよ、バカ!この手を離せ!」
「離しませんッ、進めサムライ火の玉だ!!」
なんて頭のイカれたゆとりなんだ…
こんな状況のなかで恐縮だが、今年一年そちには世話になった。
「よいお年を!」
「おまえは黙っていろ!」
わしとこのバカの分まで楽しい年末年始を過ごしてくれ。
そちにデイズで再び逢うためには、この試練を乗り越えるしかなかった。
カテゴリ:加藤清正くんの日記 | 2016-12-27 公開
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