後藤又兵衛くんの日記:第61回 ダミアンのハチャメチャ黄海道支配
5月28日
文禄の役で、黒田軍は小西行長殿の軍と共にソウルから西上し平壌城を落とした。
そのあと小西殿は平壌に留まり、黒田軍は平壌から兵を返して南下。太閤殿下から指示された担当区域の黄海道(ファンヘド)を統治することとなった。
主君のダミアン(黒田長政)は、黄海道・白川(ペクチョン)の住民を集めてこう言った。
「いいかよく聴け朝鮮人!わしは黒田長政といって、賤ヶ岳の戦い・九州征伐で奮戦し、先日は平壌城を落とした誰もが畏れる名将だ!」
「…………。」
白川の人々は意味がわからずぽかんとしていた。
「おい通訳ッ!とっとと通訳しやがれ!」
とダミアンは釜山で捕らえた日本語がわかる朝鮮の人に通訳を強要したけど、通訳してもらったところで外国の人が賤ヶ岳の戦いとか九州征伐とかわからんだろ。
「今日からこのわしが朝鮮の私利私欲にまみれた役人に代わって、この地を統治してやる。有り難いと思え!ただし山に入って逃亡する者、武器を隠し持つ者、わしの命に背く者はこうしてやる!」
とダミアンはいきなり俺の左頬を一発殴った。俺は余りの衝撃で地に倒れた。
「きゃあああ!」
白川の人々から悲鳴を上がった。「いってえ…」とよろよろと立ち上がった俺は、
「白川のみなさん、サムライにこうされたら、こうしてください。」
とダミアンの左頬を一発殴った。
「てんめえ、主君に向かって何しやがる!!」「忠臣に向かって何しやがる!!」
こうしてダミアンと俺の殴り合いのケンカとなり、白川の人々から今度は笑い声やら歓声が起こった。
「長政殿と又兵衛殿、何やってんすか!?」
と小西殿が突然現れた。
「小西殿こそどうされましたか?」
ダミアンは我に返って襟を正した。
「なんか心配になって…」
不安的中。ナイス小西殿!
カテゴリ:後藤又兵衛くんの日記 | 2016-05-28 公開
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