大谷吉継くんの日記:第31回 宗茂くんと小早川先輩を信じてみよう!
5月6日
文禄の役において、小西行長籠る平壌(ピョンヤン)城が、提督・李如松(り-じょしょう)率いる明軍四万に攻撃された。
小西は平壌からソウル日本本営・漢城まで敗走。しかも李如松が追い駆けて来て、明の大軍がここソウルに迫っていた。
ソウルには、咸鏡道にいまだ踏ん張る加藤清正と鍋島直茂以外、ほとんどの大名が集結。
石田三成はじめ多くの大名は漢城を死守すべきと主張。しかし二八歳の立花宗茂くんは、城の外に出て明軍を迎撃すべきだと主張した。
「担当区域の全羅道を制圧できなかった汚名を返上したいが為に?」
と三成は溜息をついた。
「そう思われても仕方ありませんが、守りに入っては返って危険ではないでしょうか?」
と宗茂くんは反論した。
「虎兄(とらにい)もいないのに勝てるわけないじゃん、怖いよお~!!」
と黒田長政殿が戦国ムンクの顔をして絶叫した。
「どうせ死ぬなら侍らしく堂々と戦って死ぬべきであるまいか。」
と小早川隆景先輩が全羅道で苦楽を共にした宗茂くんの主張を後押しした。
「私が先鋒を務め、必ずや漢城(ソウル)を守ってみせます。」
宗茂くんの真っすぐな気持ちに私は胸を打たれ、
「なあ、みんな!宗茂くんと小早川先輩を信じてみようよ。」
と私からもお願いすると、宗茂くんを先鋒に城の外で迎撃することに決定した。
「先鋒二番は小早川が務めよう。」
「仕方ない。本隊は黒田にお任せあれ。」
「本隊に石田・大谷も混ぜていただきたい。」
「え。朝鮮奉行の私たちも出撃するの!?嘘でしょ、三成!」
私は絶句した。
「当たり前だ。この危機的状況で何言ってんだ。」
「ムリムリ。私はここで小西の心のケアをしているよ。」
「俺は大丈夫だ。いってらっしゃい、大谷吉継。」
と平壌で兵と体力を消耗しきった小西が私に手を振った。
マジか!
宗茂くんと小早川先輩を信じてみ…よ…う…
カテゴリ:大谷吉継くんの日記 | 2016-05-06 公開
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