藤堂高虎くんの日記:第5回 置いてけぼりの九鬼と加藤
4月28日
文禄の役が始まって私は水軍の将として出撃するも、全羅左水使・李舜臣に連敗。
そんな状況を見兼ねた太閤殿下は、脇坂安治・九鬼嘉隆・加藤嘉明の三人に朝鮮水軍の撃滅を命じた。
殿下の命を受けて釜山(プサン)日本本営に着陣した脇坂・九鬼・加藤の三人は連日、船をこしらたり、敵の情報を収集していた。
「ちょっと休んでお昼にしませんか?」
と私は彼らにおにぎりを差し入れした。
「これは有り難い、皆も休むように。」
と九鬼殿は全体に休憩を命じた。
「うまい、キムチ入りだ!」
と加藤殿は私の握ったおにぎりを満足そうに食べた。
「所で脇坂殿は?」「あれ、どこ行った?」「そういえば朝から見かけないな。」
その時、
「ご注進申し上げます!」
と九鬼殿の臣下が息を切らせてやって来て、
「脇坂殿、既に巨済島へ手勢のみで出撃された模様。脇坂勢の船が釜山に一艘もありません。」
と報告した。
「何だと!」
「抜け駆けの功名を狙ったか!」
「脇坂・九鬼・加藤の三人の連合で出撃するとあれだけ確認し合ったのに。」
「李舜臣をナメきっている。」
「左水使(チャスサ)様…」
「は?今、李舜臣をサスサ様って言ったか?」
「すみません、ついうっかり。」
「高虎殿といい、脇坂といい、日本水軍は一体オットケ デン ゴヤ(どうなってんだ)!」
「九鬼殿、朝鮮語、うつってます。」
「気が動転して、ついうっかり。加藤殿、脇坂救援の為、我らも直ちに巨済島へ出撃じゃ!」
「・・・・・・・。」
李舜臣に連敗している私は、九鬼殿と加藤殿を釜山から黙って見送ることしかできなかった。
カテゴリ:藤堂高虎くんの日記 | 2016-04-28 公開
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