後藤又兵衛くんの日記:第55回 俺が一番恐れているもの
3月20日
主君の吉兵衛(黒田長政)がそんなにイヤなら黒田家を離れて、別の家に仕官でもしたらどうか。
恐らく俺の過去の日記を読んでくれた君は、そう思うに違いない。
それはそうなんだけど、俺にはそれができなかった。
何故なら俺が一番恐れているもの。
それは失業なのだ。
カッコわるいだろう。サイテーだろ。黒田家を離れる勇気もなくて、吉兵衛への不満ばかりここに書きなぐっている。それが今の俺だ。
亡き官兵衛様に思いっ切り殴り飛ばされたいけど、それは無理な話。
まずは行動。とか言う人も結構いるけど、それも無理な話。
金縛りにあったように俺は全く身動きがとれなかった。
カッコわるいだろう。サイテーだろ。黒田家を離れる勇気もなくて、吉兵衛への不満ばかりここに書きなぐっている。それが今の俺だ。
だけど失業ってそんなに恐れることなのだろうか?
とも考えながら俺は、今日道端でたまたま見つけた菫(スミレ)の花を摘み取って、官兵衛様の墓にたむけた。
カテゴリ:後藤又兵衛くんの日記 | 2014-03-20 公開
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