李舜臣くんの日記:第7回 だからどうした閑山島海戦
4月24日
脇坂安治率いる日本水軍が巨済島の見乃梁(キョンネリヤン)の狭所に停泊。
私が偵察船を見乃梁付近へ出すと、日本水軍は鉄砲を撃ちながら追跡を開始した。
敵はいつだって、私達よりも遥かに金も人も武器も充実している。
だからどうした。
利害の打算をした所でその計算、本当に合ってるの?
偵察船と見せかけたおとり船が、日本水軍を閑山島(ハンザンド)沖まで誘い出し時、島影に待機していた朝鮮水軍は鶴翼の陣を展開した。
「まだだ。まだまだ…」
私は発砲の準備を整えた部下たちを制止した。
日本軍はここで負けても日本に帰ればいいが、朝鮮軍はここで負けたら後がない。
だからどうした。
退路を作って、本領を発揮できるとでも?
「今だ、撃て!」
脇坂水軍を完全に囲い込んだ朝鮮水軍は一斉に、地字(ちじ)・玄字(げんじ)・勝字(しょうじ)等の大砲を放った。
「何事だ!」
大将船の脇坂が驚くのも束の間、朝鮮水軍は次々と日本船を撃破していった。
「たばかったな、全羅左水使(チョルラチャスサ)・李舜臣!」
「殿、直ちに退却命令を!」
「くっそ!」
目に見える厳しい現実。
だからどうした。
それこそが、君が私が奇跡を起こす場所だろ?
朝鮮水軍は先を争って突進、退却してゆく日本船に向かって矢や砲弾を交互に発した。
「日本軍を逃がすな!」
私という一つの狂気。
きっと正気の沙汰ではいられないんだ――
カテゴリ:李舜臣くんの日記 | 2016-04-24 公開
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