毛利秀元くんの日記:第16回 人生最大の侮辱


毛利秀元戦国30年5月12日

職を解かれていた李舜臣が、朝鮮水軍司令官として復帰すると日本水軍を撃破した。制海権を朝鮮側に握られ、日本勢は帰国することも困難になった。

今後どうすべきか、釜山日本本営で軍議が夜更けまで行われ、疲れ果てて自分の部屋に戻った。襖を開けて、畳に倒れこもうとした時、え。女人が目の前にいた。

「おまえは誰だ!」

僕はびっくりして大きな声を出すと、

가까이 오지마(カッカイ オジマ)!

と女人は刀を自分の首に突き付けた。

朝鮮語がわからなかったが、僕は慌てて部屋を出た。あの刀は僕の亡き父上・穂田元清の形見。部屋にある机の引き出しの奥にしまっておいたものだ。頭の中がぐちゃぐちゃになって廊下を歩いていたら、人にぶつかった。

「すまぬ。」

申訳ございません!

僕の側近の一人が土下座した。

「そんな、大げさな。」

お気に召さりませんでしたか。

「は?」

両班の女の子

誇り高き両班の女の子

若くて童顔なのに豊満でいまだ男を知らず、孝行者で、ツンデレで、学がないわけではないが自分で思考することがなく、釘を刺すにも刺しようがない従順な女、というのは朝鮮にはいそうでいなかったのです。

「……」

あの女人を僕の部屋に勝手に入れたのはコイツか。

僕はいつ、若くて童顔なのに豊満でいまだ男を知らず、孝行者で、ツンデレで、学がないわけではないが自分で思考することがなく、釘を刺すにも刺しようがない従順な女、がいいと言っただろうか。

こんなことをされて喜ぶ男だと、僕は他人からそんなふうに見られているのだろうか。サムライの大概がそうなのだとしても、一緒にしないでほしい。

今宵僕は、人生最大の侮辱を受けたのだった。

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