山内千代さんの日記:第10回 暇な二人
5月25日
「はあーあ。子供はいないし、千代紙は一枚も売れないし暇だなー。」
と私は一豊の居城である掛川城で、茶を飲みながらぼやいた。
「私も何もすることがありません。」
と仏の茂助(堀尾吉晴)が大きなあくびをした。
「茂助は豊臣政権の三中老じゃん。ひとんちで遊んでないで、ちゃんと仕事しなよ。」
「だって三中老って何するんですか。」
「それは私が聞きたい。」
「今度一度、マブダチの一豊に聞いてみよう。」
「聞く人、間違ってると思うよ。」
「それにしても世間は、どうして暇を馬鹿にするのでしょう。」
「本当だよね。私はぼーっとしている時に、新しい千代紙のデザインがよくひらめくよ。暇がなければ千代紙は一枚も生まれなかったと思う。」
「やっぱ暇って素晴らしいですね。でも昼間っから千代さんと私、こんなふうに二人っきりでいたら、世間に逢い引きだと誤解されちゃうかも。アハハハ!」
ここまで色気のない逢い引きってあるのだろうか。暇も悪くないけれど、これじゃあ余りにも不毛だわ、私と茂助。でも楽しいし、ま、いっか。
カテゴリ:山内千代さんの日記 | 2011-05-25 公開
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