山内千代さんの日記:第22回 誰より好きなのに


山内千代 戦国22年10月20日

後継者がいない為にお家取り潰しになっては一大事。山内の家臣らの生活を保証してやる為にも、この辺で千代さんから一豊殿に側室を勧められては如何か。

と昨日、一豊の親戚筋らは私に、思い詰めた顔で言った。つまり後継者を作れない私は嫁として女として、失格ということなのだろうか。

今日、大坂城下を歩きながら私は、こんなことくらいで泣けるわけないだろうと思った。その時、大坂城桜門の所で「千代さん!」と叫ぶ、一豊の同僚、茂助(堀尾吉晴)に逢った。

一豊が今日のお弁当、おにぎり三つと蜜柑一つ忘れて行ったから大坂城に届けに・・・」「千代さんはホント、誰よりも一豊のことを想っているのですね。」と茂助が仏様のように笑った。

その瞬間、私の目から涙がこぼれた。「どうしました、千代さん!?」誰よりも好きだから、一豊に側室なんて勧められない。

というか何で茂助が勝手に今、一豊の蜜柑を食べるの。」「私と一豊は、友人だからいいんです。」「意味わかんない。

私と一豊は、お嫁さん以外は誰もいらないフレンズだからいいんです。」「モテないだけじゃん。」私は手で涙をぬぐった。

ひどなー。」と茂助はまた仏様のように笑って、私に蜜柑を差し出した。蜜柑が飲み込んでも忘れられないくらい、二度とは手放せないくらい甘酸っぱかったのは気のせいだろうか。

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