大谷吉継くんの日記:第30回 ナルアルネ!
11月27日
太閤殿下の命で第一軍の小西行長が朝鮮の釜山に上陸。
小西は破竹の勢いで北上し、ソウル、平壌(ピョンヤン)までも制圧した。
その一か月後、私は朝鮮奉行として石田三成と共にソウルに着陣。
その直後、朝鮮を救うべくやって来た明国の大軍団が平壌を攻めると、戦況は一変、日本軍は窮地に陥った。
そこで小西は和議でこの戦争を終結しようとして、ソウルで明との交渉に挑んだ。
交渉で明側は、加藤清正が捕らえた二王子返還と釜山までの撤退を要求。
小西は明使節の派遣と、明軍の遼東への撤収を要求。
この条件で和議がまとまったので、小西と三成と私は、明使節の謝用梓と徐一貫を伴って肥前名護屋に到着した。
「嗚呼、十か月ぶりの日本!」
と私は日本の空気を思いっきり吸い込んだ。
「明使節を迎えたここ名護屋は和平ムードで、皆が拍手、放歌乱舞で大喜びだ。」
と三成は満足そうに笑みを浮かべた。
「おまえらに、とっておきの秘密を教えてやろうか?」
と小西は三成と私にそっとささやいた。
「何?」
「こいつら謝用梓と徐一貫は、明の皇帝から任命された使節じゃないんだ。」
「は?」
「明軍の諜報機関の人間、いわば、日本の動向を探りに来た明のスパイだ。」
「え!」
「太閤殿下をだますつもりか?!」
「ああ。頭のイカれたタダの助兵衛な老人をだますつもりだ。」
「貴様!自分が何を言っているのかわかって」
と三成が小西の胸元をつかんだ時、

三成、大谷、行長、謝用梓、徐一貫
「アハハハッ!!」
と私は声に出して笑ってしまった。
「笑いごとじゃないっ!」
「戦争を回避できるのなら俺は悪人にだってなる。」
と小西が三成にキッパリ言うと、
「ナルアルネ!」「ナルアルネ!」
と謝用梓と徐一貫が続いた。
「全て聴かなかったことにしたい…」
「ムリムリ。」
と私は再び笑った。
信念を貫き通す為には悪人にだってきっとナルアルネ!
カテゴリ:大谷吉継くんの日記 | 2015-11-27 公開
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