山内千代さんの日記:第6回 恋の餅つき大会
今日は大坂城の餅付き大会があって、私の旦那の一豊は餅をつく係りを任されていた。しかし一豊は本日、風邪で寝込んでしまった為、嫁の私が杵(きね)を持って、大坂城に出向いた。
すると北政所様が
「千代さん、おなごが餅をつくのは大変じゃ。一緒におしるこを作ってくださればよい。」
と声をかけてくだされた。北政所様、お気づかいありがとうございます。
しかし一豊の代理で来たからには、私は餅をつきます。私が餅のつき手なら、その合い手は一豊の同僚の茂助(堀尾吉晴)だ。
私が「私を女としてではなく、」と杵を振り上げて餅をつくと、茂助が「ヨッ!千代さん!」と呼応して、臼(うす)の中の餅をこねた。
「私を女としてではなく、」「女としてではなく!」
「まず人間として認めてくれ!」「よしキタッ!」
茂助と私、相性のいい餅付きの、つき手と合い手みたいだ。この調子で、もっとテンション上げていくぞ、茂助!
「それでも女として、生まれたからには」「男に生まれたかったけど」
「最上級の」「モガミ級の」「サイジョー級の」「恋がしたい」
「旦那の一豊忘れて」「それはちょっと」
「恋がしたい」「ヤバいんじゃない!?」
「恋がしたい」「同じ時代の男が」「どんなにだらしなくても」
「頭で考えずに」「イデッ!」「感じるままに」「イダダ!」
「今日も一歩、前へ!」
「イダーーーッ!!!」
え?何?!
気付けば私は、餅ではなく、茂助の手を思いっ切り、杵で何回も打ちつけていた。私は深々と謝った。「いいんだ、千代さん。餅つき、楽しかったよ、御苦労様。」と茂助は笑顔で私をねぎらった。
さぞかし手が痛いだろうに、「仏の茂助」と言われるだけあって、茂助は本当に仏様のようなヒトだ。さてと。私はこれから、茂助とついた餅を、風邪で寝込んでる一豊に早速持って帰るわ。
カテゴリ:山内千代さんの日記 | 2010-01-24 公開
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