真田幸村くんの日記:第21回 柄にもなく摘んできた橘


真田幸村5月7日

三週間前、大坂城で部署異動がまたあった。それに伴い、私は大坂城のトイレ掃除ならぬ、厠(かわや)掃除が主な仕事になった。

厠の外から、武芸に励む、豊臣譜代の武将が見えた。私は掃除ばかりで、進歩がない。けれど、焦るばかりで何もできない。そんな時、正社員武将の盛親先生が現れた。

最近、大坂城の厠がすごくキレイで使いやすいと思っていたら、幸市が掃除していると聞いたよ。さすがだな。」と先生は持ってきた花を一輪挿しに挿した。

大坂城の庭に、早くも橘(タチバナ)が咲いていた。真田幸村が磨いた厠にいいだろうと、柄にもなく摘んで来た。」「先生は私を誤解してます。厠掃除を馬鹿にしている、私は器の小さい人間です。」と雑巾を握りしめ、私は涙を落した。

盛親先生は私を励ますように、私の肩を叩いた。セイシャで先生のいない職場より、ハケンでも先生のいる今の職場でこれからも働きたい。私は、そんなふうに思うようになっていた。

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