淀殿の日記:第9回 雨漏り


淀殿戦国21年3月6日

今日は地方の大名が数名、太閤殿下のご機嫌を伺いに大坂城に来ていた。わらわも彼等に挨拶するよう殿下に言われていた。大名らが集まる部屋に向かう時、大坂城の屋根の修理をしている者がいた。大野治長だった。外は雨が降っていた。「淀殿!大名たちが待っておるぞ。

振り向けば、北政所が廊下でわらわに向かって手招きをしている。北政所が、わらわの名を叫んだのに、大野治長はわらわの存在に全く気づかないままだった。

こんなことくらいで、深く、孤独を感じるわけがない。大名らが集まった部屋で、わらわはひとり唇をかみしめていた。その時、天井から水がぽたぽたと、大名たちの頭に落ちた。「この部屋は雨漏りしておるのじゃ。済まぬのお。」と殿下が大名たちに謝った。

嗚呼、大野治長はこの部屋の雨漏りの修復をしていたのか。彼は今も雨に打たれながら、仕事をしているのか。孤独を一方的に押し付けられたと、彼を憎み恨んだ、小さな自分をわらわは恥じた。

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