北条氏康くんの日記:第21回 有名になりたい
10月29日
はあ、何をどうすれば私は多くの人に認められるのだろう。日記にしても、武田信玄と上杉謙信の日記の方が、私の書くものより、人気があるようだ。理由は、彼等が元々有名人だから。それだけ。と、思うことにしている。
いや、そもそも、そんなことはどうでもいい。落ち着け私。他にやらなければならないことは、たくさんあるはずだ。だいたい有名になった所で、なんの得があるというのか。
何故人は、私は、そんなに特別な存在になりたいのだろう。誰かひとりでも、私を認めてくれる人がいるのなら、それで充分なはずだ。私は幼馴染み且つ家臣である北条綱成(つなしげ)にとって、既に大切な存在なのだ。
「氏康様。私はそんなこと、思ったことも言ったことありませんが。」
振り返ると、綱成が私の日記帳を手にしていた。実は今、私は筆をおいてお茶漬けを食べていた。お腹がすいたもので。
「ちょっと!人の日記勝手に読んでじゃあ、ないよ!」と私は綱成から日記帳を奪い回した。「毎月、ご自分の日記、公開してるじゃありませんか。今更なんですか。意味のわからないこと言わないでください。」と綱成は言って、小田原城の自分の仕事場に戻って行った。
カテゴリ:北条氏康くんの日記 | 2008-10-29 公開
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