後藤又兵衛くんの日記:第63回 サムライスピリット
1月10日
太閤による朝鮮侵攻が始まると、黄海道担当として主君のダミアン(黒田長政)はここに侵攻、統治して黄海道海州(ヘジュ)を軍事拠点にした。
しかし朝鮮各地で義兵活動が活発化。黄海道ではイ・ジョンアム(李廷馣)が義兵を決起し、廷安(ヨンアン)に城を構えた。
イ・ジョンアム軍と黒田軍、双方の睨み合いが続き、戦いの火蓋が切って落されるのも時間の問題だった。
「この命、太閤と殿に捧ぐべし!」
「胸に愛国、手に刀。進めサムライ、火の玉だ!!」
黒田軍の本陣で、次々と皆がマゲを落とし、血判状に指で判を付いた。俺の番が回ってきたので、俺は隣りの人間に血判状を回した。
「又兵衛殿は判を付かぬのか。」
「はい。」
その時、いきなりダミアンがやって来て、
「主君のために命を捨てられないとは何事じゃーー!!」
と俺はぶん殴られた。
「ここに来て初めてわかったのですが、侍ほど国とか主君のために命を落さんとする連中もいないですよね?キモくないですか?頭おかしいですよね?何で我が国の人々は自分の為に真剣に生きようとしないんですか?!」
「おまえは何様のつもりだ!」
その瞬間、ここ本陣に大砲が撃ち込まれ、陣幕や床几が吹っ飛んだ。皆は一目散に逃げて、俺は反射的にダミアンに覆いかぶさっていた。
「殿、ケンチャナ(大丈夫)ですか?」
「ケ…ンチャナというか、今、一目散に逃げた連中を捕らえよ!」
俺は血判状を拾い、俺が一番頭がおかしいじゃんと苦笑した。
カテゴリ:後藤又兵衛くんの日記 | 2018-01-10 公開
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