真田幸村くんの日記:第12回 誘惑
大坂城では、今日から戦国お盆休みで、戦国正社員武将たちは、ほとんど皆、実家に帰ってしまった。私は戦国ハケン社員だから、お盆休みなどなく、戦国有給休暇もまだない。だから、今日もいつものように大坂城で働いていた。
セイシャ(正社員)武将がいない大坂城は、静まり返って、セミの抜け殻、まるで空蝉(うつせみ)。それもなんだかいい。私は、大坂城にある何千もの槍の中から、まだ使えるもの、使えないものとをひたすら分ける、単純労働をしていた。
お昼の時間。自分で作ってきたお弁当を開けたら、なんと書状が入っていた。徳川からだった。ひーっ!今時の忍びの者は、すごいことするんだな。食べ物の上に、書状、のせないでよ。
「真田幸村殿、あなたのような気骨のある武将がハケンで満足できるはずがない。この際、徳川に寝返りませんか。正社員として、幸村殿を雇います。徳川家重臣・本多正純」
おお!本多正純殿!って誰だっけ?!というか、正社員にしてくれるの!?よし、徳川に仕えよう!・・・じゃなかった、私の生きる原動力は、家康の首を取ること。危ない、危ない、うっかり大坂城を見捨てる所だった。でも、それだけハケンという身分はつらすぎた。
カテゴリ:真田幸村くんの日記 | 2008-08-13 公開
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