上杉景勝くんの日記:第7回 さよならも言わずに


上杉景勝戦国19年9月18日

数か月前に、屋敷の天井につばめの巣を見つけた。その日から、つばめ一家の成長をただ黙って見守るのが、わしの日課になっていた。しかし、3日前から巣はあるものの、つばめの姿が一羽も見当たらなくなった。そういえば、季節は9月も後半。

玄鳥去(げんちょうさる)。

多分、つばめは、私の知らない南の方へ、飛んで行ってしまった。さよならも言わずに、わし、ひとり残した。この戦国時代、何も言わず、黙って相手と別れることができるのは、わしだけの特権と、わしは勝手に思っておる。誰かに寂しさを与えることがあっても、誰かから寂しさを受取るのは、わしのプライドが許さない。とは言っても、わしとしたことが、うっかり、つばめから、寂しさを受取ってしまった。

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