織田信長くんの日記:第43回 安土城の襖絵
4月28日
安土城天守閣の襖絵が、画家の狩野永徳らの筆によって完成した。
金箔の上に描かれた花鳥、山水、中国の三皇五帝、孔門十哲、釈迦説法図…。
本日、この豪華絢爛の襖絵を特別に、松永久秀、足利義昭、明智光秀の娘の玉に見せてやった。さぞや驚くと思ったら、
「なんか平凡じゃね?!」
と松永が違った意味で驚いた。
「こんなふうに古代中国のイメージを連ねた襖絵を他でも目にしたような…」
「天皇の御所と同じなのよ。」と義昭が目を細めて言った。
「えー、どうして同じ?」と玉が目をまん丸くした。
「信長殿は御上(おかみ)と権威を競い合ってるから、必然的に内裏(だいり)のパロディーみたいなモンが出来上がってしまったのね。」
「いくら織田信長といえども、何でもかんでも斬新!ってわけにはいかなかったか。」
「イカれてなきゃ、おぢちゃんじゃない!」
「というわけで、はい描き直し。」
「描き直すか、ボケッ!!」
「でもこれで安土城は、軍事施設としては勿論、政治的儀礼の場としても機能する前代未聞のハイブリッドな城になったんじゃない?」
「信長にしては上出来だな。」「よくやったよくやったッ!」
終始上から目線で語られ、わけがわからなかったが、下手な世辞で物足りるわしでもない。
かと言って人の意見をまともに聴くわしでもないのだが、何でもかんでも斬新!ってわけにはいかなかった自分にわしは苦笑した。
カテゴリ:織田信長くんの日記 | 2014-04-29 公開
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