加藤清正くんの日記:第32回 宇土城のイルミネーション


加藤清正戦国24年11月20日

秋の終わり。太閤殿下から茶会に招かれたわしは、熊本から遥々大坂城に出向いた。

久しぶりにお逢いした殿下は、茶会は佐吉(石田三成)に任して、でんでん太鼓片手に、息子のお拾君(ひろいぎみ)の尻を盲目的に追いかけ回しているだけだった。殿下のこの姿を見て、コイツはもう駄目だと思ってしまった。

殿下の終わりは、わしの終わり。30代中盤って仕事に脂(あぶら)が乗ってくる頃だと思っていたけど、違った。それどころか未来が何も見えなくなってしまった。

そして熊本に戻ると、未来が何も見えなくなったわしの目に、隣りのうちのB級なクリスマスイルミネーションが飛び込んできた。

毎年この季節、熊本の美しい景観を破壊してくれるなッ!」とわしは小西んちに殴り込んだ。すると「うるせーなあ。」と小西が裏門から面倒くさそうに出てきた。

俺だって今年は止めにしようと思ったんだよ。30代中盤だって言うのに何もかも全然うまくいかないし、今年はとてもクリスマスって気分じゃなかった。

加藤清正

加藤清正

だけど、おまえのかあちゃんに、小西くん、今年の宇土城のイルミネーションはまだ?って言われて、ハッとして、その一声でなんか元気もらっちゃって。

うちのかあちゃんが原因かよ!」とわしが絶句した瞬間、

Merry Christmas, Merry 熊本

とわかけのわからない文字が宇土城天守閣の上で点灯した。

殿下の側(そば)より熊本の方がいいなんて思いたくない。こんなわけのわからない宇土城のイルミネーションで、自分の人生、もう少し踏ん張ってみようとは思わない。まさか思ったりしないんだ。

前後の日記

« »

関連トピック

ランダムデイズ