大谷吉継くんの日記:第25回 君と私と干鰯(ほしか)と
5月22日
「大谷、聴いてくれ。」
と日向・大熊・薩摩の検地から帰ってきた石田三成は、目を輝かせて私の国、越前にやって来た。「まあ、入って。」と私は三成に屋敷の中に入ってもらった。
「九州地方の一部では最近、干鰯(ほしか)というイワシを乾燥させて作った肥料を使っていて、これが馬糞や牛糞(ぎゅうふん)と同じくらいに田畑に有効らしい。」
と三成は私と共に、大谷家の昨日の残りの戦国野菜カレーを食べている時に言った。
「君が検地マニアで田んぼに関心あるのはよくわかるけど、食事中に馬糞や牛糞とか、どうかと思う。」と私は怪訝な顔をして戦国スプーンをおいた。
「あ、ごめん。これで許して。」と三成は私に干鰯を渡した。「まさかこれがお土産とか言うんじゃないよね?」「そうだよ。」
「三成が検地に行く前、チーズ饅頭とかさつま揚げとか、リクエストしたじゃん!」「聴いてないよ。」「言ったよ!」「しかし干鰯は数年後、必ずブレイクするぞ?」
「・・・・・・・・・・。」
今年の秋、越前が豊作じゃなきゃ責任とってよ。
越前の民百姓は、私の分まで君のお土産を喜んでくれたんだから。
今年の秋、越前が豊作じゃなきゃ責任とってよ。
私のことをすっかり忘れてしまうほど、熱中するものがある人を友としてしまった私の為にも、きっと。
カテゴリ:大谷吉継くんの日記 | 2013-05-22 公開
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