上杉景勝くんの日記:第41回 十炷香-其弐
今日は五大老定例会議があった。その後、近くの寺で五大老の家康殿、利家殿、輝元殿、秀家殿、わしとで恒例の夕食会があった。
「先日の淀の方様との十炷香(じゅっちゅうこう)対決、我等が淀の方様に負けてしまうとは…」と家康殿が唇をかみしめ悔しがった。
「しかし、なかなかの接戦で楽しかったのお。」と利家殿が茶をすすった。その時、
「五大老の皆様、大坂城より大坂城の庭でとれたスモモの差し入れをお持ちしました。」と大野治長殿がやってきた。
これは十炷香対決に負けた我等が、淀の方様との約束を果たすチャンス!わしは立ち上がり、「スモモ、かたじけない。」と治長殿からスモモを受け取った。そして、
「と、所で、あなたの好きな理想の女性のタイプはダダ、ダ、誰ですか!」とわしは、淀の方様の代わりに勇気を振り絞って聞いた。
「え、何ですか突然。私の理想の女性のタイプは、懐が大きくて聡明な女性、北政所様です。それでは御免。」と治長殿はキッパリ言って、この場を去った。
「よりによって北政所様とは!」と秀家殿が口をぽかんと開けた。「淀の方様に報告しづらいですね。」と輝元殿が苦笑いをした。
「ホントですよ。」「大野治長が熟女好きとはのお。」「戦国の綾部か何かじゃろう。」
「所で滅多に喋らない景勝殿が、淀の方様になりきって大野治長に聞いてましたね。顔真っ赤だったし。」「アホじゃろう。」
わしはただ、にょし(女子)の気持ちになって本気で聞かないと、治長殿は本当のことを打ち明けてくれないと思ったのじゃよ。>>淀殿の日記第35回に続く
カテゴリ:上杉景勝くんの日記 | 2012-09-18 公開
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