淀殿の日記:第34回 十炷香(じゅっちゅうこう)-其一
9月9日
わらわは本日、豊臣政権五大老である家康殿、利家殿、輝元殿、秀家殿、景勝殿を大坂城の自分の部屋に呼んだ。
十炷香(じゅっちゅうこう)という、数種の香10包をたき、その香の名を聞き当てるゲームに参加してもらう為である。
わらわは本日、伽羅(きゃら)、羅国(らこく)、真那伽(まなか)を各三包、佐曾羅(さそら)を一包、計十包用意した。
これらをわらわが打ち混ぜ、出た香の順番を五大老に聞き当ててもらう。
「我らの中で全ての香を完璧に聞き当てた者が一人でもいた場合、五大老の月給を上げてくださるよう、淀の方様より太閤殿下にお願いいただけるとは、本当にごさいますか。」と輝元殿はわらわに尋ねた。
「約束しよう。」とわらわは答えた。「但し、完璧に聞き当てる者が誰一人としていなかった場合、大野治長の理想のおなごのタイプは誰か、そなたらから本人に直接聴き出してもらいたい。」
「そんなことで宜しいのか!」と利家殿は目を丸くした。「そんなことではない。大事なことじゃ。」「これは面白いことになりそうですね。」と秀家殿が笑みを浮かべると、景勝殿は黙ってこくりと頷いた。
「何を隠そうわしは、茶道以上に香道に通じておるぞ?」と家康殿はわらわを挑発してきた。望むところじゃ。
五大老の為にサルに頭を下げるなどまっぴら御免だし、五大老にはとことん、わらわのこの命懸けの恋に協力してもらう。
それでは互いのプライドを懸けて、いざ勝負!>>上杉景勝くんの日記第41回に続く
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2012年9月9日
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