松永久秀くんの日記:第42回 明智ひろ子
俺様は今日、明智光秀の屋敷に遊びに行った。しかし明智はまだ仕事から帰ってなかった。客間で明智を待っている俺様に、明智の女房・ひろ子が酒とつまみを出してくれた。
「明智に持たせてる愛妻弁当、あれいつも、すげーな。」と俺様が言うと、「夕飯の残り物の詰め合わせですよ。」とひろ子は笑った。「ひろ子、クリスマス、俺様と一緒に過ごさないか。」と俺様はいきなり、ひろ子の透き通るような白い手を取った。
「私は光秀様、ひと筋です。」
とひろ子は真顔で言った。冗談だよ、ひろ子。そんなにハッキリ振らなくても、と俺様が涙ぐんだ時、「ママー、目が覚めたー。」と目をこすりながら、明智の娘・玉がやって来た。そして玉は俺様に気づくと、
「あ、キモイおじちゃん、こんにちはー!」
と挨拶した。「ったく、このうちは、どういうしつけをしてんだよッ!」と俺様は玉を抱きかかえた。「降ろしてー、降ろしてー、キャハハハ!」
その時、明智光秀がやっと帰って来た。「おせーよ、明智。今、何時だと思ってんだよ。」「それはこっちのセリフですよ。あなたはヒトのうちに、深夜12時に遊びにくるんですか?!」「悪いか?」
「おかしいでしょう。ひろ子、このヒトになんかされなかったか。」「ちょっと。」「ちょっとって何?!」「パパ、おじちゃんがクリスマスプレゼント、玉にくれるって。」「言ってねえーよ!」と玉を抱えたままの俺様は絶句した。
このうちに来て、明智が何故、信長の下で、過酷な労働に耐えていられるのか、俺様は少しわかった。守るものがあるって、いいな、明智。
それにしても仕方ない。玉へのクリスマスプレゼント、どうするかなあー。男と女のこともまだわからない女に、一体、何を贈ったらいいのだろうか。
カテゴリ:松永久秀くんの日記 | 2009-12-04 公開
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