大谷吉継くんの日記:第17回 孤独の糸
6月7日
石田三成と私を繋ぐものは何だろう。多分、耐えがたい孤独なんだと思う。
三成は、相手が大大名や、豊臣恩顧の武功派であろうと、間違っていると思えば、臆することなく意見する。そして彼等は、我が物顔で豊臣家の政(まつりごと)を取り仕切る三成に憎悪する。
三成は今日も、多くの敵をかわしながら大坂城で職務を遂行しているのだろう。
私もまた、三成と似たようなものだ。いつも顔に包帯を巻いていなければならない、私の重い病。私に近づくと、病がうつると私を避ける人間は少なくなかった。
けれど私は大丈夫だ。あなたが孤独でいてくれるから、私も安心して、孤独を生きることができる。
友は百人もいらない。あなたしかいらない。孤独の糸で結ばれている私たち。私には、石田三成だけで充分だった。
カテゴリ:大谷吉継くんの日記 | 2010-06-07 公開
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