後藤又兵衛くんの日記:第36回 黒田家を出て行く又兵衛


後藤又兵衛10月21日

今日、主君の吉兵衛(黒田長政)の部屋に、俺はひとり呼び出された。俺が先日、大坂・堺に発注ミスした鉄砲50丁が、今日ここ福岡に届いたからだ。

堺は返品不可の一点張りだし、こんな古式の鉄砲、飾りもんにしかならんし、どう責任取ってくれるのよ、又兵衛。」と吉兵衛は俺を睨みつけた。

「殿、今後この様なミスを起こさない為にも、もう少しヒトを雇ってもらえないでしょうか。ひとりで抱える仕事量がハンパないので。」「却下。わしのやり方に不満があるのなら、いっそここを出て行けば?

「それでは、出て行きます。」

俺は一枚の紙を叩きつけ、部屋を出た。長い廊下をまっすぐに歩いた。そして角を曲がろうとした時、「又兵衛!これ、辞表じゃなくて、ただの休暇届じゃん!」と血相変えた吉兵衛が後ろから叫んだ。「京にちょっくら遊びに行ってきます。殿、お土産は?」

よーじやのあぶらとり紙、夜露死苦!

夕暮れの光が廊下の上にさして、吉兵衛と俺の間で頼りなく揺れていた。乙女じゃあるまいし、なんでよーじやのあぶらとり紙なんだよ。本当にどうしようもないよ、うちのお殿様は。

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