淀殿の日記:第12回 写真もメールもいらない恋
7月12日
戦国に写真がなくてよかった。写真の中の大野治長(はるなが)よりも、自分の頭の中に深く刻み込んだ大野治長の方が、より本物に近いはずじゃ。
目の形、髪の質感、肌の色、えくぼに髭。その全てを、写真に頼らずとも、わらわは鮮明に思い出すことができる。
戦国にメールがなくてよかった。大野治長のメールアドレスを、聞き出す手間が省けたし、もし大野治長のメールアドレスを知ったとしても、メールが来ないいらだちを、わらわは知らずに済んだ。
一進一退。なかなか前に進まないこの恋に、全てを賭けても構わない。今どき流行らないこんな片思いに、わらわはこの人生の全てを賭けてもいいと、思っておるのじゃ。
カテゴリ:淀殿の日記 | 2009-07-12 公開
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