淀殿の日記:第8回 サルと利家
2月11日
今日は太閤殿下の正室、北政所(きたのまんどころ)に会いに、加賀前田のまつ殿が大坂城にやって来た。北政所の部屋で、わらわも一緒にお茶をした。
「うちの旦那の利家が、よそで女作ってた。しかも子供まで作っていた…」
とまつ殿がまんじゅうをむしゃむしゃ食べながら言った。
「男なんて所詮、そんなもんですよ。」
と北政所が言った。
「おめーんとこのサルと一緒にすんなッ!」
とまつ殿が、ひとんちの花瓶を持ちあげて、床に叩きつけた。花瓶は音を立ててくだけ散った。すると今度は北政所が、
「こっちだって、槍と人望しか取柄のない利家殿と、うちのサルを一緒にされたくないわ!」
とまつ殿に飛びかかった。
「頭は私が使うから、利家は私のいうことだけ聞いてりやぁ、いいんだよ!」
とまつ殿が北政所の髪を引張り、ふたりは取っ組合いのけんかをし始めた。利家殿もサルも、正室に随分愛されているんだな。
カテゴリ:淀殿の日記 | 2009-02-11 公開
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