後藤又兵衛くんの日記:第26回 バケツの水


後藤又兵衛12月30日

年末なので、俺の仕官先の黒田家も今日は大掃除だ。俺は屋敷内の一番長い廊下を、担当した。廊下の端から端まで、雑巾がけで二往復した所で、主君の吉兵衛(黒田長政)がやって来た。

わしも掃除をしよう。」と吉兵衛が言った。更に「黒田のあるじたるもの、皆と協力して、わしも掃除をせねばのお。」と吉兵衛が、鳥肌の立つようなことを言い始めた。

俺は吉兵衛の要望に応えるべく、吉兵衛用の、雑巾と戦国バケツを持ってきた。「こちらの三の間の棚のほこりを、殿にふき取っていただければと思います。」と俺が頼むと、「よし、きた、まかせろ。」と吉兵衛は、雑巾を手にし、戦国バケツに手を突っ込んだ。

冬の水は、冷たすぎて、手が凍りそうになるのお。」と吉兵衛は言った。「はい、私の両手はもう、あかぎれです。」と俺はまた廊下を拭こうとした。その時、吉兵衛は叫んだ。

バケツの中に、お湯入れて持ってこんかいッ!

 

お前は現代っ子か!屋敷の台所も風呂も、今、火を消している時間だから、黒田の屋敷に今、火がない。これから俺が自ら火をおこさないと、お湯は作れない。今年が終わる最後の最後まで、余計な仕事を作ってくれてありがとう、吉兵衛。

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