石田三成くんの日記:第37回 スーパーマンのいない世界


石田三成8月29日

五奉行である、浅野リーダー、増田殿、長束殿、前田殿と私は本日、各地の大名から大坂城に届いた様々な書状を、破損や紛失した時の控として、手分けして書き写していた。

その中に「利休や蒲生氏郷を葬ったのは石田三成」という差出人不明の文が紛れていた。「事実無根。何を根拠にその様なことを!」と増田殿が、ドンと拳で机を強く叩いた。

最近多いな、石田殿への中傷の文が。」と浅野リーダーがその文を破り捨てた。「殿下の覚え目出度い石田殿へのやっかみでしょう。」と前田殿が溜息をついた。「お気になさるな、石田殿。」と長束殿が私の肩を叩いた。

気になんかしない。けれどふと、大谷吉継を思い出した。大坂城桜門の下。久々に近江の佐和山の城に帰ろうとする私の頭上に、雨が降っていた。

三成!

振り向くと大谷吉継が立っていた。私は驚いた。「どうしてここに。」「うちの娘と真田幸村くんとの結婚式の司会を太閤殿下に頼もうと思って。

「殿下はそんなに暇じゃない。」「ひどい言い様だな。でも殿下はこういう楽しいイベント好きでしょ?」「そうかもしれないけど。」「三成。」「何だよ。」

何があったか知らないけれど、傘くらいさしなよ。

差し出された大きな傘。今このタイミングで大谷に逢わなければ私は、佐和山から大坂城に再び戻っては来れなかったと思う。けれど、ふと思い出せば現われるなんてどうかしてる。戦国にスーパーマンなんていないのだから、大谷。

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