伊達政宗くんの日記:第61回 おらより目立ってくれるな、毛利秀元15歳!
3月30日
おばんでがす~。
文禄の役が始まったといえど、関東やとうほぐの諸大名は朝鮮へ出兵しなぐてもよかっだ。
だども、おらがいない戦争なんて華がないべ。朝鮮軍も、おらのいない日本軍では戦うハリってもんがないべ。
だからおらは、前年に朝鮮軍に敗れた晋州城再攻撃の為、増派軍として毛利秀元殿と共に朝鮮へ渡海しだ。
だども釜山(プサン)さ着陣しだら、信じられねえ光景が目に飛び込んで来だ。
首に縄さつけられた朝鮮の老若男女が幾人も、日本の商売人に非常に安い値で売られていだのだ。
おらは嫌悪の余り吐いだ。そして朝鮮さ来たことを後悔しだ。
「本当に後悔しているのですか?」
と、李舜臣に連戦連敗している藤堂高虎先輩がおらに声さかげた。
「生まれて初めて自己嫌悪だべ。」
とおらは泣いだ。
「それはよかった。」
「は?」
「一番ダメなのは、私のように意味を見出せないまま、太閤に命令されたからといって、この戦争に加担しているような連中です。しかし意味あってここにいるのなら、後悔する必要があるでしょうか?」
「高虎先輩…」
「心配しなくても朝鮮軍は悪を一掃できぬほど弱くありませんし、この大戦争の華は政宗殿ではないかもしれませんよ?」
と言って高虎先輩が指差した方向に、秀元殿がいだ。
彼は毛利輝元殿のいとこにあたる、田舎のお坊ちゃまだべ。
「兜がまだブカブカじゃん!」「陣羽織も!」「かわいい~!!」
と加藤清正・鍋島直茂・黒田長政ら諸将が騒いでいた。
「おらより目立ってくれるな、毛利秀元15歳!」
おらは秀元殿さ斬り込みに駆け出しだ。
「ええ~~!!」
まんず、おらは血迷ってここさ来たことを後悔している場合ではねがった。
カテゴリ:伊達政宗くんの日記 | 2016-03-30 公開
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