徳川家康くんの日記:第34回 李舜臣と狸のしっぽ
3月19日
はろ~!みんな大好き家康公だよ!
本日の午後は、江戸城に招いた儒者の藤原惺窩(せいか)の論語講義を、わしの側近・本多佐渡守正信と天海和尚とで聴いて、そのあと彼らと談話した。みたいな?
「現在行われている太閤による朝鮮侵攻は意味がわからないが――」
と佐渡守が口火を切った。
「日本の水軍の将として出陣した藤堂高虎が、朝鮮水軍の将・李舜臣(イ-スンシン)に巨済島・玉浦(オクポ)で大敗。
怒り狂った太閤は、水軍の大将として脇坂安治を投入するも、これまた李舜臣に大敗。面白くなってきましたな、殿。」
「佐渡よ、日本は負けておるのじゃぞ。わしは殿下の悲しみを思うと、うっ、うっ、うっ…」
わしは袖を目に押し当てた。
「家康殿、しっぽが出てますよ。」
と惺窩が笑った。天海和尚は惺窩に、
「殿と佐渡殿といると、仏の道から外れ、悪に染まってしまいそうです。」
と耳打ちした。
「大丈夫、和尚は殿とわしに出逢う前から仏の道から外れとる。それにしても、朝鮮王朝には気骨のある武将がいたものじゃ。」
「敵の敵は味方…という言葉が今ふと、頭に浮かびました。」
「太閤を倒すという強い信念は殿も李舜臣も同じかもしれませんね。」
そう言って佐渡守と惺窩と天海和尚は高笑いした。

家康、本多正信、天海、藤原惺窩
わしは殿下を倒したいなんて思ったことないよ?
君主の宣祖(ソンジョ)が都を捨てたように、李舜臣も逃げちゃえばいいのに。
男なら思いやりと学問と反骨より、金と女と戦争を欲すべきでしょ?
「殿。また、しっぽが…」
狸でもあるまいし、そんなまさか、アリエナイでしょ?
カテゴリ:徳川家康くんの日記 | 2015-03-20 公開
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