真田幸村くんの日記:第36回 不覚にも深く
東北に大きな震災があって、勝手に宿命のライバルと決めつけていた伊達政宗のことを私は心配している。
心底、憎たらしいと思っていた同い年の伊達政宗のことを、不覚にも心配している。
冗談じゃないよ、こんなことになって、周りを照らしていたのはいつだって、私ではなくあなたの方だったと思い知るとは。
「真田幸村、また明日!」
振り向けば、仕事を終えた盛親先生が、大坂城の庭で草むしりをしている私に向かって手を振っている。どうして先生じゃ駄目なんだろう。どうして私は伊達政宗じゃなきゃ駄目なんだろう。
伊達政宗がいなければ人生に張りがないなんて、どうかしている。そんな思いを振り切るように、
「先生、また明日!」
と手を振ってみても、伊達政宗までは振りきれない。冗談じゃないよ、こんなことになって、周りを照らしていたのはいつだって、私ではなくあなたの方だったと思い知るとは。
そんなあなたのことを、私は不覚にも心配している。自分が思っている以上に深く、きっと・・・
カテゴリ:真田幸村くんの日記 | 2011-03-22 公開
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